遠い海が聞こえる。
アジサイが、しっとりした空気に包まれて静かに大きく開いている。那須街道のアジサイは大きい松林に囲まれながら3kmほど続いていて車を走らせながら眺める事がほとんどだが、毎年季節を感じる風景の一つになっている。鎌倉の明月院は昔アジサイ寺と言われていたけれどきっと今でも立派なアジサイが開いているのだろう、階段の石が丸くすりへっていて、沢山の人がこの階段を歩いたんだなとか思いながら歩いた。歴史のある街というものの空気を初めて感じたのもこの寺のある街、鎌倉だった。そのころ俺は18歳、那須の山から横須賀に住むようになって、いろんな事が初めてのことだった。教育訓練がやっと明け、初めての外室(上陸)で一人電車に乗って行ってみたのが北鎌倉。雨の中、明月院の階段を登った時の記憶は今でも覚えている、嬉しくて、ちょっと淋しくて・・・。海のある街に憧れたのは確かです。
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